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交響曲第9番ニ短調『合唱』

Symphony No.9 in D minor, Op.125 "Choral"

Ludwig Van Beethoven L.V.ベートーヴェン

言わずと知れたクラシックの超大曲である。この曲が丸々1曲、1枚のCDに入るようにCDの容量が企画された。〔第九(だいく)〕と呼ばれることも多い。他の作曲家も第9番があるはずだが、ベートーヴェンがあまりにも圧倒的なるがゆえである。

演奏者にもよるが、70分前後に渡るこの曲を飽きもせず聴けるのは、この作品の素晴らしさゆえだ。といっても、いきなりでは、退屈する人も出てこよう。そんな人は第4楽章から始めてみるのも手だ。合唱が入る終楽章だ。これだけでも20数分ある。

合唱は、ドイツの詩人シラーの「歓喜に寄す」という詩を歌う。神の存在を意識しながら、人類愛を歌ったものだ。立派な内容だが、途中「ウジ虫には官能の悦びが与えられ、天使は嬉々として神のみ前に立つ」というわけのわからない部分もある。多分わかる人にはわかるのだろう。

私はワルターがコロンビア交響楽団を指揮したステレオ録音を聴いていた。しかし、名盤中の名盤はフルトヴェングラーが指揮したバイロイト祝祭管弦楽団のものだという意見が圧倒的であった。1951年のモノラル録音である。これを持っていないとクラシック・ファンとは呼べないなどという人物まで現れる始末。沽券にかかわる。仕方がないので購入した。最近では復刻盤と称して、雑音などを取り除き、ステレオ録音に近い効果を出しているCDもある。買われるならこちらの方を薦める。

フルトヴェングラーは多分、20世紀最高の指揮者で、没後半世紀以上が過ぎても、いまだに熱狂的なファンが存在するカリスマだ。第2次大戦中は音楽と音楽家を守るためにナチスとも対立することがあったようだが、戦後はナチスに協力したかどで演奏禁止の処分を受ける。裁判で無罪となり演奏活動ができるようになるが、民間の反対活動などで演奏活動は制限を受けたようだ。1951年にバイロイト音楽祭が再開され、その音楽祭でベートーヴェンの「第九』を演奏した。その録音が先ほど紹介したものである。演奏会では、聴衆は涙を流して聴いたことであろう。

12月になると、日本の各地で「第九」演奏会が開かれる。皆さんの身近な人も合唱に参加されているかもしれない。我が町の隣町のホールでも毎年演奏会が行われている。普段から録音を聴いておけば、演奏会も退屈せずに楽しめるはずだ。

なお、カラヤンがベルリンフィルを指揮した録音も定評がある。

©魔笛別館 January 10th, 2010 ちゐく たつく


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