ジパング

講談社モーニングKC 既巻18巻  かわぐちかいじ作

自衛隊の戦艦が一隻、第二次世界大戦の真っ只中にタイムスリップするという話。タイムスリップの方法は雷に打たれるというありふれたものです。過去へのタイムスリップは小説や映画でも多く、ほとんどの場合は歴史の関与への葛藤が描かれており、この作品も例外ではありません。この作品においては、タイムスリップ時に艦への損害がまったくなかったため、武器だけでなく、レーダーや機動性だけでも強大な存在となります。船名は「みらい」です。おそらくシャレでしょう。

今年再び映画化された(’76に一度映画化されている)「戦国自衛隊」とはちがい、燃料は補給が可能です。ほかにも修理用・整備用の部品もある程度は調達可能です。みらいは日本軍に所属はしないまでも、燃料の補給を受けながら戦い続けています。

武器の中で一番有効に活用されているのは、自動追尾が可能なミサイルでしょう。当時は自動追尾のなかったので、日本軍では手動追尾を実行していたほどです。「神風攻撃」「桜花」「回天」などは有名でしょう。ちなみにこんな特攻兵器を作ったのは日本だけです。

この物語は「歴史を変えてもいいのか」「自衛隊はどこまで戦えるか」といったさまざまなことを問題にしていますが、一番の問いかけは人命尊重でも戦争反対でもなく「第二次世界大戦の意義」でしょう。半世紀以上たってもいまだに尾を引いているあの戦争はいったい何だったのかということを、全体にわたって問いかけています。

この作品では作者の意向なのか戦争に反対しており、積極的に戦争に参加しようとする菊池や草加は悪役にされています。

TOPへ