わたしの経験によりますと、その理由を聞くならば、ごくわずかなものは、神を仰ぎ、宗教的な理由のために教会で式を挙げたいと言うのですが、ほとんどのものが理由としてあげることは、 教会で式を行うと非常に気持がよいとか、厳かな式の中でよろこびを味わうとか、或いは落ち着くからというのです。滅多にないことですが、時には、教会で結婚式を挙げたい理由は、場所が便利だとか、 きれいな教会だとか、お金がかからない等々です。しかしながら、皆さまご承知のとおり、これらの理由は宗教的なものではありません。
世俗的な理由によって神の家である教会を利用するのは、相応しくないことです。
勿論すべての司祭は同じ考えを持っていませんが、私自身は未信者の結婚式を教会で挙げることに、原則として反対です。ある司祭は、教会で結婚したいものは、数回にわたって、結婚講座を聞くために教会へ足を運び、また式中に説教を聞き、神にお祈りする以上、これはすばらしい宣教であるといいます･･･。これは確かに意味ある理由ですが、実際はその通りにいかないようです。
モンレアル神父様が主任になった時から今日に至るまで、当教会において未信者のカップルの結婚式は１２６組ありました。すべてに対して丁寧に結婚講座を行い、尊敬と愛情をもって扱った筈です。何人くらい信者になったと思われますか。答はゼロです。
あるカップルは結婚式後、お礼に来て、新婚旅行のお土産などを持って来てくれましたが、それ以外に誰も来たことはありません･･･。例えば、家庭の問題とか、悩みとか、宗教的な問題などについて聞くなどのために一人も教会に来たことはありません。
（この記事は何ヶ月か前に書きましたが、今教会へ来ておられる方々が出来ました。うれしく思います）
換言すれば、モンレアル主任神父様の時代から、即ち19年間、四日市教会において未信者のカップルは一人も洗礼を受けたこともなければ、教会に対して何らかの興味を見せたこともありません。
宗教と関係なしに、結婚ほど大事な式を、誰でも教会で挙げることが出来るならば、信者であることは大して意味がないと思わせる危険があります。
勿論、私は未信者のカップルに宣教し、その結婚式を教会で行うことが無意味だとは言いません。話によると、東京の聖イグナチオ教会のイエズス会の神父様方は、大分成功しておられるようです。が、条件は随分違います。
即ち、上智大学で教える神父様方は１００人前後おられ、中には授業の時間をあまり持たない方もおります。その結果、数名の神父様方は、例えば午後５時から主任神父様を手伝って、 数ヶ月かかるよく考えられた結婚講座を行うそうです。この長い間、立派な話を聞くと承諾した人は、教会とすばらしい協力をするのです。
それから、聖イグナチオ教会で結婚式を挙げられた方々に対してのアフターケアも非常に丁寧であります。
例えば、ご降誕祭、ご復活祭、また他の適切な時に、そこで結婚した方々を招いて、カトリックの原理に基づいて結婚者の教育を続けるのです。このようにすれば成功する可能性があります。
しかしながら、一人の神父しかいない教会においては、未信者のカップルに費やす時間は非常に限られていて、大きな期待を持つことは出来ません。言うまでもなく、その話は未信者を助けることが出来て、 神さまのめぐみもあれば、誰かが改宗する可能性もあります。
しかしながら、わたしたちの教会の可能性を考えると、見込みの少ない未信者の結婚式を行うよりも、キリストを求めて従いたいと思う求道者を導く方が、はるかに効果的であります。
もしある教会には未信者の結婚講座を計画し、またそれを立派に行う人間がいれば、多分立派な成果が得られるかも知れません。
ところで、私の経験によりますと、教会で式を挙げたい未信者のほとんどは、披露宴の場所と時間を決めてから教会へ来ますので、結婚講座の時間があまりありません。
ついでにカトリック信者に言いたいのです。披露宴の場所や日時を決めてから神父のところへ話しに来ることは、無理なことでもあれば、時には不可能なことでもあります。
例えば、その日に先約があったり、或いは別の行事等があれば、できなくなるからです。責任のある方々は、他のことを決めるより先に、神父に相談します。そして立派な準備が出来るために、 結婚する一年くらい前に神父にお話することは、理想的であり、最低でも半年くらい前でしょう（勿論、例外は考えられます）。
上述した理由によって私は、原則として双方未信者の結婚式は断ります（一人がカトリック信者であり、相手が未信者であっても、当然式は教会で挙げなければなりません。これは信者の務めであって、よろこんで引き受けます）。
故にもし、二人とも信者でない方が教会で式を挙げることが出来るかと聞かれるならば、ご遠慮なく、四日市教会では出来ませんと答えてください。
特別な事情がある時、また教会の判断によってよいことだと思われる場合は、例外として未信者の結婚式を行う時もあります。
（H03.07.14 年間第15主日）
