*栽培&管理Point*
鉢植えを対象にここでは以下の事柄を簡単に述べます。後に管理の項目を別に設けてより詳しいご説明を順次追加していきます。

・水やり ・鉢の置き場所 ・肥料 ・植え替え (病気について) ・灰色カビ病 ・立枯病 ・炭疽病 (害虫について)・葉ダニ
 ・スリップス ・アブラ虫 ・ハマキムシ ・ハモグリバエ ・尺取虫
  • 水のやり過ぎに注意

    鉢土が乾いたら鉢底から水が流れ出すまでたっぷりかけます。
    水やりの間隔は季節や置き場所、鉢の大きさによって異なるので一概には言えません。時々様子を見て土が乾いていたら水遣りをして下さい。
    アイビーは乾燥に強いので少々水やりを忘れても大丈夫と言いたいのですが、大きな鉢と小さな鉢では乾き具合が大きく違います。小鉢には特に注意が必要です。吊鉢も速く乾きますので小鉢と同様に気をつけて下さい。
    季節ごとに水遣りの間隔を或る程度定めて、ひどく不規則にならないように心がけることが大事です。

  • 根は酸素呼吸をしている

    暑い季節にシャワーを浴びると気持ちが良いものです。水遣りは根がシャワーを浴びることです。人間と違って植物はシャワーをあびるとき水分も吸収します。
    植物の根は普段は酸素呼吸をしていますからまわりには空気が無くては困ります。なるべく多くの新鮮な空気があるほどありがたいのです。水遣りは根の周囲の古い空気を押しのけて新しい空気と入れ換えをします。鉢の底から水が流れ出ることの意味がおわかりになったでしょう。
    水はけの良い土とは空隙の多い土です。すきまに空気をたくさん保有できる土が良いわけです。
    水のやりすぎは根の周囲を水浸しにして窒息させます。根腐りは酸素欠乏が続くと起こります。根を水攻めにしてはいけません。

  • 置き場所・夏は直射日光を避け、風通しを良く

    薄日が当たるくらいの「明るい日陰」が鉢植えには最適です。5〜9月の日射しは鉢植えのアイビーには強すぎて日焼けを起こします。(地植えしたものとは扱いが違います)
    日焼けは「やけど」です。人間の火傷は治りますが植物の葉はもとに戻りません。次の新葉が出てくるまで焦げた色のまま続きます。
    そこで夏場には直射日光が当たらないように工夫して下さい。厚手の寒冷紗やよしず、すだれなどを使って、特に西日は避けるようにして下さい。
    アイビーは暑さに弱いので夏場には管理する側もそれなりに神経質になって頂きたいと思います。
    一方、アイビーは寒さに強くマイナス5度くらいまではどの品種も大丈夫です。寒さで枯れる心配はありません。ただ葉の色合いは劣化しますのでそれが気になるようでしたら室内に入れて下さい。
    (そのときには葉ダニの問題が起こりますので、葉ダニの項をご覧下さい。)

  • 肥料・観葉植物には弱い肥料を使う

    一般的には春と秋の年に2回8-8-8程度の弱い肥料を与えます。成育を早めたいときには2カ月おきくらいに少量ずつ与えます。肥料分の中の窒素が多すぎると葉の本来の形が崩れてしまうので施肥量と間隔に十分気を付けて下さい。
    これは人間の肥満体質にたとえられます。肥りすぎると病気に対する抵抗力が弱まります。良く茂って元気そうに見えて実は病菌に弱い体質になっています。窒素の多いアブラ粕を使ってはいけないのもそのためです。
    夏は暑さで弱っているので肥料は与えません。冬にも屋外では根が冬眠するので施肥をしません。
    肥料の効き目が目に見えて感じられるのは春の新芽が出る時期と、秋のやや寒くなり始める頃です。紅葉させるものを除き、秋の施肥は葉の色合いを保たせる意味で大事です。

  • 植替え・購入したポット苗の植替え方
     

    (グラウンド・カバー1の植え方もご覧下さい、基本的に同じです)

    時期によって2つの植え替え方に分かれます。時期とは昼間の最高温度が17℃を超えるかどうかです。
    植え替えに伴う最大の障害は立枯病の発生です。立枯病は気温が18℃を超えた時期に植物の根を崩すと高率で発生します。しかし、それが17℃以下になると多くの病菌は冬眠状態になり根を崩しても立枯病などの発生は起こりません。この差は非常に重要で植物の生死を分けます。

    1. 最高温度が17℃を超える時は根を崩さずに移し替えるように植え込む。

    2. 17℃以下になると根を崩して植え替えることができる。

    1. は私共が「夏場の仮植え」と呼ぶもので、ポットから取り出したものの根を崩さないで、そっと移し替えるように植え込むことです。高温の時期に手に入れた鉢植えや苗は「腫れ物にさわる」ように扱うのが一番良いと思います。

    以下は 2. についてのご説明です。

    用土 赤玉土中粒、パーライト粒、ボラ小粒、腐葉土を2:2:1:2の比率で混ぜ合わせます。
       関東より東ではボラ小粒の代わりに軽石小粒をお使い下さい。

    この比率は特に大事ではなく最近は自分でも上記の4種を皆同じ量使っています。
    用土の配合は誰でもしばしば変えるものです。イギリスのドクター・アイビーと言われるホワイトハウス氏に今までに何回ぐらい配合を変えたか尋ねました。答えは thousands of times で、思わず笑ってしまいました。配合を変えるとき誰でもこれが一番だ!と思っています。それがあてにならないとは困ったことです。
    市販されている観葉植物の土などで充分間に合います。水はけの良い土を使って下さい。
    特に上質の用土でなくても宜しいです。

    時期 植え替えの適期は肌寒い時期です。
       暖かい時期より寒い時期のほうが、植え替えによる痛みは確実に少ないです。
       私共は毎年10月下旬から翌年の5月までの間に親木の植え替えを行っています。
       大事な株の植え替えは必ず寒くなるまで待ちます。

    手順
      1.根を切らないよう根鉢をそっとくずします

      2.鉢の穴をネットでふさぎ適当なサイズのゴロ石を2〜3センチくらい敷きます。

      3.浅く土を入れ底にマグアンプを少し置き、植えた時ちょうど良い深さになるよう土を入れます。

      4.風通しを良くするため中央部を空けます
      5.土を入れます。へらで軽くつつくと根の間に土が入りやすくなります。土を入れ終わったら水をかけ
      て完了です。水をかけると土が沈みます。沈みすぎたようでしたら土を足して下さい。

     植替え後は1週間くらい日陰で風通しの良い所に置いて、土の上に8-8-8程度の肥料を撒きます。

     上記では株を1つずつバラしましたが、根鉢を軽くほぐす程度でもOKです。大きく成長した後の植え替を考えると、バラして間隔をとって植える方が良いので私共はバラして植えます。どちらがよいかはその人の判断です。

*Fujii Engei Ltd.*