ピアノ曲集である。数分の作品が12曲収められている。曲名の日本語訳は「デルフィの舞姫たち」「帆」「野を渡る風」「音と香りは夕暮れの大気に漂う」「アナカプリの丘」「雪の上の足跡」「西風の見たもの」「亜麻色の髪の乙女」「途絶えたセレナーデ」「沈める寺」「パックの踊り」「ミンストレル」。
「亜麻色の髪の乙女」を聴いたことがある人は多いだろう。この曲はメロディーと思われるものもあり、伝統的なピアノ曲に慣れたものにでもとっつきやすい。ドビュッシー入門の方は、この曲から聴き始められては。
しかし、ドビュッシーの特徴は、縦に繋がったメロディーではない。その時その時に響く横の協和なのである。また、リズムも常に変化し、一定ではない。ストーリーのある物語ではなく。その時その時のシーンをフラッシュで写す風景画である。
奏でられている音は少ないが、奏でられていない音がどこかにあり、その聞こえない音を楽しむことができる。
私たつくは、ミケランジェリの演奏を愛聴している。不思議な世界にあなたを導いてくれることだろう。クロスリーのものもお薦めである。
©魔笛別館 January 12th, 2010 ちゐく たつく