イギリス生まれのドイツ人。若いころには北欧で、家業の修行をさせられたり、アメリカで農園の管理を任されたりした。ヨーロッパにもどってからは、ドイツで音楽を学び、フランスで作曲活動をした。経歴が示すように、作品は多国混合の一種独特の雰囲気を持っている。
管弦楽曲の多くは、モヤモヤっとしたイギリス風と、フランスの印象主義の雰囲気がうまく混ざり合っている。“On Hearing the First Cuckoo in Spring”“The Walk to the Paradise Garden”“A Song of Summer”などが彼らしい名曲だが、“La Calinda”がとっつきやすいと思う。
ラ・カリンダ(La Calinda)は、『フロリダ組曲』という作品の一部として使用されていたものを、『コアンガ』という彼の2番目のオペラ作品に転用したものである。悲しげな舞曲だが、くっきりとしていてわかりやすい。5分もしない曲なので、ぜひ聴いて欲しい。
私はバルビローリの2枚組輸入盤を持っている。多分日本で発売されているのはこれ。ビーチャム指揮のものは『フロリダ組曲』版が聴ける。私のもう1つのお気に入り「そり滑り(そり乗り)」も聴けるのがうれしい。
© 魔笛別館 March 16th, 2010 ちゐく たつく