月刊ガンガンWING連載 スクウェア・エニックス既巻6巻 藤原ここあ作
魔狼(ライカンスロープ)という伝説上の生き物をめぐって物語りは進みます。とはいってもまほらばと同じように平凡な日常を描いているものが大半を占め、読んでいて心温まる物語になっています。
魔狼の生き残りである散葉が人里に下りてきたところから物語が始まります。おりてきたのは、一人でいるのがさびしくなった体と思われます。舞台は小さな島で、離島に近い場所です。
また、この物語には作者の以前の作品である「わたしの狼さん」に登場するキャラクターがそのまま登場しているので、まずそちらを読んでからのほうがわかりやすいでしょう。
わたしの狼さん
勇者・小桃と魔王・昴が共に旅をして人助けをする物語。勇者はレベル0でその日の暮らしも困るほど貧乏。魔王は気まぐれで自分勝手。特に世界征服を仕様とか言う悪意はなく、暇なので部下にしょうもない命令を出して困らせている。勇者にほれて魔王であることを捨てて共に旅に出る。「地位を捨てて愛を取った」と考えればかっこいいかもしれない。
わたしの狼さん THE OTHER SIDE OF LYCANTHROPE
「わたしの狼さん」からほとんど続いている。魔王が勇者と共に旅に出て行方不明になったところから物語が始まる。ドジな将軍・プリノがそのドジゆえに魔狼の呪にとりつかれてしまい、そののろいを解いてもらうために行方不明の魔王を探しに行く物語。魔狼にとりつかれると、狼というより犬に近くなる。
魔狼というのは読んで字のごとく狼の魔物で、昔は強大な魔力を持っていたようだが、長い時間のせいか魔力も弱まりほとんど犬に近い存在です。数も減って今では散葉一人のようで、散葉自信長い間山で一人で暮らしていたらしく、今のところ他の魔狼は登場していません。
その魔力が使われたことは今のところなく、話の展開上今後もなさそうです。唯一「不死」という力があるようで、怪我をしてもすぐに治ります。本当は散葉が不死だったのだが、妃杈を助けるために力を譲ったのでかわりに妃杈が不死となり散葉は不死でなくなったので散葉の魔狼としての力は耳が出る程度です。驚いたり喜んだりすると出るという、犬のような耳です。
主な登場人物
散葉 | 魔狼(ライカンスロープ)の生き残り。長い間人里はなれて山の中で暮らしていたため、極度に田舎ものとなり知らないことが多い。そのためか見るものがすべて珍しいらしく、どんなものでも宝物にし、誰とでも仲良くなりたい純朴な少女である。テレビはあったようで、テレビで見た間違った知識を身につけている。妃杈とは昔少しの間一緒に遊んでいたことがある。 |
妃杈 | 討伐態副長。無口で無表情。普段は討伐隊で働いている。隊長の奇人ぶりに苦労しており、よく踏みつけている。外見は美人でよく女に間違われ、女装するとよく似合うが本人は嫌がっている。 |
ケイン・クレバート | 討伐態隊長。魔物を退治することが仕事だが、なんでも力ずくで解決するのではなく言葉の通じる相手にはできるだけ話しあいで解決しようとする。相手に対する理解もある人情派。しかし、雨の日は来ない、暑い日は外に出ない、毎日遅刻するという不真面目な面もある。自称「美の伝道師」。美しいものなら老若男女を問わずに手を出し暴走を始めるので、妃杈はそれをとめるのに苦労している。彼が美しいと感じたものなら、バザーの皿でも大切にし、美意識には独自の信念を持っている。プリノにほれているが、周りからはロリコン扱い。 |
小桃・サクライ | 勇者。ただしレベル0でスライムより弱い。そのため仕事後なくバイトで生計を立てているが、常に赤貧にあえいでいる。夢は貧乏を脱してマイホームを立てることだが、その日の暮らしもままならない状態が続いている。貧乏が続いているせいか、物(特に食べ物)を粗末にすると激しく怒る。4巻で骨折したきり直らず骨折キャラで定着している。力も弱く、栄養が足りない星かもしれない。人間では珍しく魔力を持っており、その星で紙は白く、偏見などで苦労したことも多い。その魔力を使って何かができるというわけではないらしい。 |
昴・ハーネスト | 魔王。しかしコモモにほれて勇者の手伝いをするようになってしまった。魔王らしいところは何もない。腕に魔狼の腕がついており、それを使って強大な力を出せる。レベルは2000。いつも紅やキャロルに無理な命令を出して困らせている。魔労農では拒絶反応が出て危険なので、治す方法を探すために散葉のところへやってきた。 |
プリノ・ハーウェル | 魔王軍将軍。ものすごいドジで、そのドジから魔狼ののろいにとりつかれてしまった。一度は昴によってのろいがとかれたが、散葉の力に呼応し、再びのろいが発現してしまった。部下からは慕われてはいるが、日ごろのドジのせいか信頼はされていない様子。実家はかなり大きく、自家用のヘリがあるほど。島へはそのヘリで来た。彼女はヘリを始めさまざまな乗り物のライセンスを持っているらしいが、普段すぐにこけるところを見ていると、同乗するときは生きた心地がしない。バイオリンが得意。昴が好き。 |
キャロル | 魔王の側近。式神使いで呪符を使った戦いが得意。普段は紅を後ろから援護している。笑顔で結構きついことを言ったり、紅をからかって斬られそうになったりとギャグの要素の強いキャラ。紅がつっこみならキャロルはボケ。昴のわがままで紅と共に苦労している。 |
紅 | 魔王の側近。普段はキャロルが後方から援護して、紅が刀で斬りつけると言う戦法をとっている。刀を使って戦うため、最もダメージが大きい。性格は堅物でまじめ。ぶっきらぼうで間違ったことが嫌い。軍の中で態度が悪いやつに注意してトラブルになることがよくある。そのため問題児扱い。動物好き。そのためかプリノが犬化したときに懐かれる。 |
梅 | 昴の使い魔。外見は子犬だが、口の中は宇宙が広がっている得体の知れない謎の生物。口から服を吐き出し、小桃の服はすべて梅が出している。口から出す服や、大きく広がる口など謎が多い。 |